前回までの記事では、業務には目的があり、
その目的を意識することの重要性について考えました。
この記事では、業務の目的を設定することの重要性について、
具体例を交えながら述べていきたいと思います。
業務の目的を設定し、明確にする
目的が明確でなければ、業務は進むべき方向性を見失います。
目的の明確化することは、業務の成果物を価値あるものにしたり、
業務をスムーズに進めるために必要な土台づくりとも言えます。
目的が明確でない業務は、業務ではない
業務の目的が曖昧な状態では、その活動は「業務」とは言えません。
たとえば、「資料を作成する」だけでは、目的は不明確です。
このように、目的が不明確なまま業務を進めてしまうと、
成果物である資料を受け取る相手が利用できる資料をつくれるとは限りません。
しかし、「意思決定をサポートするための資料を作成する」というように、
目的が明確であれば、その目的に沿った資料を作成できます。
このように、業務で生み出すべき価値を明確にすることで、
必要とされる価値がわかり、価値のある成果物を生み出せるようになります。
目的を設定する/理解することが業務の始まり
業務を始める前に、まず目的を設定し、それをチーム全員で共有することが重要です。
たとえば、製造業において、業務の目的を
「製品に対する客先からのクレーム防止」であると明確にした場合、
目的に沿って、各組織で連携して業務を行うことができます。
担当者 | 担当する業務 | 業務の目的 |
品質管理 | 製品の外観や機能検査 出荷前の品質確認 | 不良品の流出を防ぎ、 クレームを未然に防止する |
製造技術 | 生産プロセスの改善 設備の点検・整備 | 製造工程での品質向上を図り、 不良発生を抑制する |
製造管理者 | チームの作業管理 品質管理体制の維持・向上 | チーム全体の品質意識を高め、 ミスを減少させる |
営業 | 要望やクレームのヒアリング フィードバック | 顧客の不満を迅速に把握し、 再発防止策に繋げる |
一方で、業務の目的が不明確であった場合、
各部署や従業員が、各々が得をするの行動や
怒られないための行動をするため、
価値を生まない仕事をしてしまいがちです。
担当者 | 担当する業務 | 優先される個々の都合 |
品質管理 | 出荷予定数に合わせて 不良品を合格品と評価する作業 | 出荷スケジュールを 守ることが最優先 |
製造技術 | 上司へ報告するための 机上の計算、資料作成 | 組織管理者から 怒られないことが最優先 |
製造管理者 | 実態を隠した上層部への報告 現場への叱咤激励 | 経営層から 怒られないことが最優先 |
営業 | クレームや要望を無視した 無理な販路拡大 | 売上目標の達成、 契約数の最大化が最優先 |
このように、業務の目的が不明確であると
個々が個別最適を目指すようになり、
本来目指すべき方向から外れた行動を繰り返すようになります。
このように、業務の目的を明確にしておくことは重要です。
業務の目的を明確にすることで、全員が同じ方向を向いて仕事を進められます。
本記事を通じて、業務の抽象化を通じた効率化や成果向上のヒントを掴み、
日々の業務に活用してみてください。