前回は、「ECRS(イクルス)」という
考え方を紹介しました。
その中で、ルーチン業務における
悲しい法則を話題に挙げました。
「ルーチン業務は組織が
運営される中で、必然的に
数・ボリュームが増えていく」
今回の記事では、その法則について
述べたいと思います。
おさらい ECRSの法則
・Eliminate:排除
⇒仕事や業務を廃止する
・Combine:結合
⇒仕事、成果物を結合してまとめる
あるいは分離して簡素化する
・Rearrange:交換
⇒人、モノ、方法を変えることで効率化
・Simplify:簡素化
⇒複雑な業務を誰でも簡単にできるようにする
改善の効果:E>C>R>Sであり、
改善の順序:E→C→R→Sで行うことが効果的。
ルーチン業務が増える「理由」
ルーチン業務は、減らそうと
意識しない限り、
組織が運営される中で時間とともに
業務量・業務数は増大していきます。
その理由は主に下記の2点だと
考えられます。
ルーチン業務が増える理由
・理由その1:担当者のこだわりの追加
・理由その2:無意識なサービスで守備範囲が広がる
ここで、注目していただきたいのは、
業務を増大させてしまった方々が、
「よかれと思って行ったことが
業務を増大させている」ということです。
また、「余裕があるときほど、
業務は増大する」ので、
業務が増えた時は
問題視されにくいということも
理由の一つに挙げられます。
余裕があると業務が増える理由
(パーキンソンの第一法則)はこちらから
※後日公開予定
これらはほんの一例ですが、
実際には多岐にわたる業務で
このような現象が起きており、
気が付いたら人が足りない、
莫大な業務量になってしまっている…という
事態に陥りやすいです。
業務を増やさないための要因とポイント
何故このような
「よかれと思って業務が増える」ことが
起きてしまうのでしょうか。
理由は下記の4点に集約されます。
要因① 業務の「成果物」の定義が曖昧。
どのような形態、内容、レベルの成果物が
求められているか、業務を指示した人と、
指示された人とで認識が異なることが
あります。
この定義が曖昧だと、サービス精神旺盛な
「優しい人」や「気が利く人」が
本来必要な成果物に、成果に比例しない
負担を付け加えてしまい、
それの負担がルーチン化されてしまうことが
あります。
(例)形 態:メール連絡 or 報告書
or プレゼン資料
内 容:結果のみ or 結果+考察
レベル:概要 or 詳細、
背景の説明の要否
要因② 「どの作業」を「誰が」行わないといけないかが曖昧。
誰が:自部署 or 他部署/依頼先/客先
→他部署/他者とのやり取りにおいては、
最初は「助け合いの精神」…のつもりが、
自部署が忙しくなると「負担」になり、
「揉め事」も生じます。
親切心であってもミスがあると
「責任の押付け合い」になる。
要因③ 自部署の「存在意義」が曖昧
「自部門の守備範囲がどこまでか」という
認識がメンバー間で異なる。
要因④ 自分(その時の担当者)のやり方が正しいと誤解している
「この業務はここまでやるべきだ」は、
個人の裁量でなく、組織レベルで
業務の「目的」と「相手先」を
基に定めるべきです。
こうならないためには、
まずは業務の「目的」と
「成果物」を明確にしたうえで
業務に取り組む必要があります。
「目的」と「成果物」を
明確にする方法は
こちらの記事を参考に
してください。
業務を増やさないための対策
これらの対策は、以下の通りとなります。
表にある通り、個人だけでなく、
組織の所属長も巻き込んでの対策が必要です。
業務効率化でECRSに沿って、
業務をリスト化し、
業務の目的や成果物を
定義していく中で、
前述のような現象が起きていないか、
組織・チーム単位で議論していくことが
望ましいです。
対 策 | 取 り 除 く 発 生 原 因 | 個 人 | 所 属 長 |
---|---|---|---|
まずは自部署の存在意義を 部署内で認識を合わせる。 | ① | 〇 | |
組織の存在意義を 踏まえたうえで、業務の 「目的」・「成果物」の 定義と、「分担(※)」 (※自部門or他部署/他社)を 明確にする。 | ① ② | 〇 | |
「目的」「成果物」の定義 と「分担」を踏まえて、 業務に取り組む。 業務に取り組む際は、 効率化、質の向上に 繋がらない 過剰なサービスを避ける。 | ② ④ | 〇 | |
一時的な他者への手助けが 必要となった際は、 過剰なサービスが 継続しないように、 「今回だけ」と割り切らせる。 | ③ ④ | 〇 | 〇 |
自部門内での業務分担や グループワークでは 「過剰なサービスだから やらない」という 行き過ぎた意識から、 業務の擦り付け合いが 生じないように業務管理する。 | ③ | 〇 |
話題が少しそれましたが、
引き続きECRSのEについて
考えていきましょう。
元の記事、「ECRSのE」はこちらから