お世話になっております。
いわたさんです。
この記事では、
業務教育の準備を始めよう!
業務教育を進めていきます!
という方に、
その準備の方法や進め方を
提案します。
OJTのPDCA
OJTは中長期的に教育を計画し、
教育を行い、進捗を見ながら
軌道修正を行っていきます。
まさに、PDCAですね。
OJTでは、組織の「責任者」、
教育を行う「担当者」、
教育を受ける「教育対象」の
3者が関わり合いながら、
それぞれの立場で進めていきます。
「責任者」、「担当者」、
「教育対象」の方が、
OJTでどのようなPDCAを
行わなければならないのか。
それを表にまとめてみました。
そして、これらを手順にすると
次の図のようになります。
次の章からは、
これらの具体的な手法について、
説明していきます。
業務教育で最低限知っておくべきポイント(過去の記事)
この記事は下記の記事を
前提てをご一読
前提で話が進んできます。
OJTを開始する前に、
最低限知っておくべき、
準備しておくべき
ポイントですので、
未読の方は是非読んでみてください。
OJTの特性を知る。
最初に「手順」ではなく
「目的」を教える
教える業務を標準化しておく
行動は「強化」/「弱化」で学習される
成長曲線を知り、忍耐する覚悟を持つ
業務でも一番重要なことは「信頼」
業務教育の「P:計画」
業務教育のPDCAの
「P:計画」では、
次の5点を行います。
大雑把に言うと、
・業務の本質を理解する
⇒その本質を標準化する
という流れになります。
①業務の目的を明確にする。
②業務の成果物を明確にする。
③成果物を出すのに
必要な手順、知識・資格、
判断基準を洗い出す。
④手順、判断基準を
誰でも実行できるレベルまで
具体化+言語化する。
⑤ ④の手順、判断基準を
マニュアル化する。
(マニュアルや手順書の作成)
上記の①~⑤を進めるに
あたってのポイントを
紹介していきます。
(1)教育のゴールを定める
業務の教育を行う際、
最初に行わなければならないのは、
この教育で、何を成し遂げたいか
というゴールを定めることです。
新入社員の場合、当面は
「自立」がゴールとなるでしょう。
ここで、「自立」とは
どのような意味か?
言語化すると、
このような定義に
なるのではないでしょうか。
「自立」
責任者、担当者の指示に対し、
自身の判断で業務を遂行できる。
担当者や教育対象の方に対して、
何を「教育のゴール」とするか
教育の最終的な目標を
定義することが大切です。
責任者と担当者でゴールを
定義したうえで業務教育に
望みましょう。
(2)教える業務の本質を見極める
次に、習得させる業務の
「業務の本質」を考えます。
先ほどのPDCAのPの
下記が該当します。
①業務の目的を明確にする。
②業務の成果物を明確にする。
③成果物を出すのに
必要な手順、知識・資格、
判断基準を洗い出す。
これらの手順について、見ていきましょう。
i)業務の目的と要素を明らかにする
これから教える業務の
「目的」を明らかにして、
必要な「成果物」と
成果物を得るための
「インプット」、
「効率」、「協力者」も
明らかにしていきます。
以前の記事で紹介した、
こちらの表を埋めていくと
業務の全容が見えてきます。
- 教える業務:業務の名称を記入
- 目 的:目的を記入
- 成果物:成果物を記入
- 工 程:業務のステップを記入
- 手 順:業務の工程内で行う
手順や作業を記入 - 判断基準:目的を基に、
判断基準を記入
※具体的に表現
ii)教えることに対してOJTとOFF-JTを使い分ける
次に、習得させる業務が
「ルーチン業務」、
「課題解決型業務」の
どちらに該当するか
確認してください。
習得させる業務によって、
次のようにOJTとOFF-JTを
使い分けていきます。
「ルーチン作業」
⇒作業方法・ノウハウを
OJT主体で教育
⇒必要な情報などを
OFF-JTで教育
「課題解決型業務」
⇒OJTとOFF-JTの
2本立ての教育
上の図を参考にして、
これから教える業務の
それぞれの要素に対して
OJT、OFF-JTのどちらを
用いるか検討してみてください。
iii)業務の要素を細分化する
次に、i)であげた業務の要素を
細分化していきます。
業務…と一言で言っても
その業務の中には
いくつかの「手順・作業」や
必要な「知識・資格」、
「判断基準」といった
要素が含まれているはずです。
この業務をできるように
なるには何が必要か。
その棚卸をしていきます。
棚卸ができたら、
ii)、iii)で確認・検討したことを
一覧表にまとめていきます。
これで、やるべきことが
見えてきたはずです。
表にある通り、
「締切」も設定すると、
計画を確実に進めやすくなります。
(3)業務の標準化をする
ここでは、PDCAのPの
下記を行います。
④手順、判断基準を
誰でも実行できるレベルまで
具体化+言語化する。
⑤ ④の手順、判断基準
(2)で挙げた業務の要素の
細分化リストのうち、
標準化できるものは、
標準化を行います。
標準化できるものは、
次のようなものが有ります。
手順、作業
⇒手順書、マニュアル
知識
⇒テキスト、講習会
判断基準
⇒マニュアル、図解
標準化については
こちらの記事を
参照してください。
業務教育の「D:実行」,「C:確認」
業務教育のPDCAの
「D:実行」では、
下記の5点を行います。
ここでやるべきことは、
山本五十六さんの
格言そのものです。
やってみせ
言って聞かせて させてみせ
誉めてやらねば 人は動かじ
具体化すると、下記の通りです。
① 業務の目的を教えたうえで
PLAN⑤のマニュアルや
手順書の内容を教える。
② ①で教えた内容を
復唱させ、理解度を把握する。
③理解できていない
ところがあれば、
情報を補い理解させる。
④実際に業務を行い
手本を見せる。
⑤業務をやってもらい、
経験させる。
進め方は業務の作業、手順、
知識、判断基準などで
異なると思いますので、
ここでは注意点について
述べたいと思います。
注意点① マニュアル丸投げの術
マニュアル丸投げ!
「これ、読んでおいて」
このマニュアル丸投げ指導法が
多くの職場で目につきます。
(私の勤め先もそうでした。)
マニュアルは実際に作業に
従事している人は、
その経験と基礎知識から、
言語化、図示されていない
情報を補いながら
内容を理解することができます。
しかし、作業を実際に
行ったことが無い人にとっては
作業マニュアル
=「初めて見る家電の
取扱い説明書」の
ようなもの。
マニュアル丸投げ指導法は
読み解いて理解するに
時間を要したり、
疑問や不明点が残ったりと、
効率が非常に悪いです。
まずは、やってみせ を実行。
教育担当と、対象者が一緒に
マニュアルを読みながら、
「担当者が手本を見せること」が
教育の最初のステップとなります。
注意点②理解度の確認
教育対象者が、きちんと
業務のポイントを押さえているか
確認することも重要です。
教育を経験された方は、
次の経験があるのでは
ないでしょうか。
「わかりました」と
言っていたのに
仕事ができていない。
この原因として、次の2点が
あげられます。
①指示が具体的でない。
業務を教える際、
教え方に具体性が欠けていると、
内容が正しく伝わらず、
担当者と教育対象の認識に
誤認や欠損が生じます。
そのような時は、教える内容を
「MORSの法則」を用いて
具体的なものにしていきましょう。
・Measured (計測できる)
・Observable(観察できる)
・Reliable (信頼できる)
・Specific(明確化されている)
MORSの法則の詳細は
こちらの記事を参考にしてください。
②理解度を正しく把握できていない。
理解度を確認する際に、
次のような言葉を
使っていませんか?
わかった?
大丈夫?
このような質問では、
教育対象の方の理解度を
把握することはできません。
その理由は、
Yes/Noクエスチョンだから
なのです!
教わる側は、そもそも
「何が理解できていないか」
その理解できていないこと自体を
認識できていないことが多いです。
教育担当者が意識をして、
理解できていないポイントや
抜けている情報を探りましょう。
このとき、役に立つのが、
山本五十六の格言のこの部分です。
言って聞かせて させてみせ
業務でやるべきことを
教育対象の方に「復唱」させることで
情報のモレ・誤りを探りましょう。
また、教育対象の方が
実際に業務を行っているところに
立ち会って、
正しい手順・判断ができているか
確認することも重要です。
具体的な例や手法は
こちらの記事を参考にしてください。
業務教育の「C:確認」
業務教育のPDCAの
「C:確認」では、
教育対象が正しい手順や判断を
できているか、確認します。
行うのは次の2点です。
DO⑤で教えた内容を
理解できているか
評価・確認する。
定期的に身についた能力、
身につけられていない能力を
確認する。
DO と CHECKは
1セットです。
教えたら教えっぱなし…
なんてことにならないように
確認も確実に行いましょう。
CHECKには、短期的な確認と
長期的な確認が有ります。
①短期的な確認
まず、Doのステップで
方法を教えた後は、
教えたことを正しくできているか
確認を行います。
確認のコツは、
「正しくできる」ということを
具体的に言語化して
教えたことに対して
コレができているか
確認します!
というチェックリストを
作成します。
次に、そのチェックリストを
教育の担当者と教育対象者で
共有し、重点項目を確認します。
チェックリストにしておけば、
やるべきこと、大事なポイントが
見える化されているので、
認識のズレを小さくすることが
できます。
そして、作業を行うたびに、
教育対象者がチェックリストを
活用します。
チェックリストを活用することで、
作業時のモレ・ミスを防止する
こともできます。
最後に、教育対象者が
使用したチェックリストを
教育の担当者が確認して、
何ができていて、
何ができていないかを
確認します。
教育の担当者と対象者で
「できた」のレベルについて
認識に相違があることが多いです。
必ず、チェックリストだけでなく
実際に作業を行う様子や成果物も
確認しましょう。
チェックリストの
作成⇒共有⇒活用で
①大事なポイントの見える化
②モレ・ミスの防止
②長期的な確認
一つひとつの作業だけでなく、
業務教育の計画全体の確認も
行う必要があります。
業務教育を行うと、
その時々に教えている
業務のことで頭がいっぱいになり、
「P:計画」で作った
業務教育の計画全体に対する
進捗の確認がおろそかに
なりやすいです。
教育の担当者と責任者で、
業務教育の計画全体に対する
進捗と軌道修正を行う
タイミングを設定し、
確実にチェックを
行えるようにしましょう。
③確認+褒めるでモチベーション維持
確認した際、教育対象の方が
できることが増えたら、
「褒める」チャンスです!
確認した際に、その場で、
言葉に出して教育対象の方を
褒めましょう。
褒める効能については
別の記事で紹介します。
業務教育の「A:改善」
C:確認のステップで
習熟度や進捗を確認した後は、
軌道修正もセットで行います。
これがPDCAのAの
ステップになります。
業務教育に限らず、
PDCAのサイクルを回すうえで
よく、「C:確認」が抜けて
「A:改善(軌道修正)」されず、
PDCAが回らないといった
ケースがよく見られます。
着実に「C:確認」を行い、
「A:改善・軌道修正」を
繰り返していきましょう。
まとめ
繰り返しになりますが、
業務教育のPDCAは
下図の通りになります。
具体的な手法は、
職場や業務で多少変わりますが、
主軸は同じです。
①業務の本質を意識して
計画を立てる
②やってみせ
言って聞かせて
させてみせ
誉めてやらねば
人は動かじ
③チェックリストで
できる/できないことの
確認をする。
④教育計画を定期的に
確認し、計画を見直して
PDCAサイクルを回す。
いかがでしたか?
業務教育はパワーも忍耐も
必要で大変です。
記事を通じて
お役に立てると幸いです。