前回のおさらい(業務の本質)
さて、前回までのおさらいです。
読んでいない方は下記のリンクからお読みになってください。
「業務とは、ある「目的」を達成するために
必要な「成果物」を得るためのプロセス」
【ルーチン業務と業務の本質】
「目的と成果物を意識すれば、成果物の質が上がる。」
改善業務の「目的」と「成果物」
今回は、改善業務における
業務の「目的」は何か、
「成果物」は何か。
その考え方について私の考えを紹介します。
業務の目的について、
これまでの記事で説明した通り、
掲げた「目的」が「手段」になって
しまっていないか。
ということに注意をしてください。
生産活動や営業については、
「組織運営のために資金を得る(=目的)」ために
「○○円売り上げる(=目標)」といった具合に、
目的と目標が明確になっている場合が多いです。
一方、改善活動の場合は、
「自動化する」、
「ITやAIを導入する」といった
「手段」が「目的」になってしまうことが
よくあります。
私自身の失敗例はこちら
改善の方針 「手段」=「目的」としないために
では、私のような
失敗を避けるコツをお伝えします。
改善活動では、「困りごと」から
スタートすることをお勧めします。
①「困りごと」を見つけ、
②その困りごとの「要因」を捉えて、
③「課題」を抽出し、
④「課題の解決=目的」とする と
改善活動は組織の成果に
結びつけやすくなります。
初めに「手段」を「目的」として
先に掲げてしまうと、
・課題解決のためにもっと効果のある
手段が見えなくなる。
・「手段」を達成した後に
期待した効果が出ない。
...といった状況に陥ることがよくあります。
具体例「目的」と「成果物」を意識した改善提案
ここまで挙げてきた「目的」は
下表の課題の解決であり、
「成果物」は「課題解決の手段」を
成し遂げて得られるものと
言い換えることができます。
下表は、上記の方法に従って
改善のアイテム(=「手段」)を
抽出した例です。
繰り返しになりますが、
①「困りごと」を見つけ、
②困りごとの「要因」を捉えて、
③「課題」を抽出し、
④「課題の解決=目的」とする
ことで、改善の方針や成果が
ズレにくくなります。
困りごと | 要因 | 課題 | 手段 |
製品の生産が 追い付いていない。 | ○○の工程に時間を 要しており、 次の工程に進めない。 | ○○の工程の スピードアップ | ・○○工程の設備増設 ・○○工程の自動化 |
困りごと | 要因 | 課題 | 手段 |
資料のもととなる 数字の収集に 時間を要している。 | ・各部署の数字を 電話で問い合わせ している。 ・集約用に時間を 要している。 | ・問い合わせの 手間の最小化 ・集約の手間の最少化。 | ・電話での問い合わせを アンケートアプリに変更 ・フォーマットの改定 →表計算を容易にする。 →計算を自動化する |
困りごと | 要因 | 課題 | 手段 |
物を探すのに 時間がかかる | ・必要なモノが他のモノに 埋もれている。 ・どこに何があるのか 分からない。 ・必要なモノが離れた ところにある。 | ・モノを減らす。 ・必要なモノがすぐに 見つかる職場にする。 | ・不用品の整理する。 →捨てる 物品の整理 ・用途ごとにモノを 集約する。 ・動線を意識して 整頓する。 ・表示をして視認性を 良くする。 |
具体例の表を見ると、
各々の現状や職場において、
今流行りの「自動化」や「IT」、「AI」が
必ずしも有効な手段である、とは
言い切れないことがわかります。
むしろ、このようなツールは、
ツールの維持管理に資金や時間を要したり、
扱える人材の教育や雇用が必要…といった、
新たな課題を発生させる
問題児となることもあります。
※これらのツールを
批判しているのではなく、
適材適所を考えたり、
導入するタイミングを
見極めたりする必要がある、
ということが
言いたいのです。
(私はむしろITや自動化大好き人間です。)
まとめ
まとめ
今回は、改善活動における「目的」と「成果物」について考えていきました。
・「困りごと」を見つけ、
・困りごとの「要因」を捉えて、
・「課題」を抽出し、
・「課題の解決=目的」とすると
改善活動は組織の成果に結びつけやすい。
・改善活動では…「目的」=課題の解決、
「成果物」=課題解決の手段を成し遂げて得られるもの。
・流行りのIT、AI、自動化はそれら自身が新たな課題や
コストの発生源となりうるので
適材適所を考えたり、導入するタイミングを
見極めたりする必要がある。
ここまでは、
・業務の本質とは、
「ある目的を達成するための成果物を
生み出すためのプロセスである」という話、
・ルーチン業務や改善活動について、
「成果物」と「目的」にフォーカスして
考える必要がある。
という話題に触れました。
次回からは、色々な業務の優先度や
取り組み方を考えるための業務の分類方法、
「重要度」と「緊急度」について紹介します。