今回は、人材育成の肝!
「褒める」ことについて
掘り下げて考えていこうと
思います。
褒めることの効能
(1)褒めること、得意ですか?
会社で上司の役割をされている皆さん、
褒めるのは苦手・・・という方も
少なからずいらっしゃるはずです。
なぜ、褒めることが苦手なのか…。
私は、その苦手意識が
生まれる理由は
「褒める」ことを
よく知らないから。
だと考えています。
「褒めることの効能」と
「褒め方」がわかれば、
褒めることが苦手でも、
割と簡単に褒め上手になれます。
(2)なぜ、褒めるのか?
では、さっそく本題。
「褒める」ことの本質から
考えていきます。
なぜ、「褒める」という行動が
必要なのでしょうか。
「褒める」とは、どのような
行為・働きかけか?
「褒めること」によって
得られるメリットは何か?
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考えはまとまりましたか?
・部下を喜ばせるため?
・褒めて「伸ばす」と言うよね。
褒めることの本質について、
人材育成の本質から考えていきましょう。
私は、「業務における教育」を
以下のように定義しています。
①メンバーが
「成果物」を得るための
「望ましい行動」を
行えるようになる/増やす。
②メンバーが
「成果物」を得る過程で
「望ましくない行動」を
減らす/行わないようにする。
この考えは、こちらの記事で
紹介しています。
「褒める」という行動は
人材育成の定義のうち、
①を成すための行動だと考えています。
①メンバーが
「成果物」を得るための
「望ましい行動」を
行えるようになる/増やす。
(3)褒める行為=相手を「●める」
「褒める」とは、
どのような行為・働きかけか?
これの答えについて、
私は次のように考えています。
「褒める」
=相手を認める
(=承認する)行為。
相手を「褒めること」で、
相手は「承認された」と
感じることができます。
この、承認されて嬉しいという
承認欲求は子供だけでなく、
大人にもあります。
褒めることによる承認は、
次の3種類があります。
種類 | 内容と効果 | 褒め方・関わり方や具体例 |
---|---|---|
存 在 承 認 | 上司が部下を気に掛け、 組織の一員であることを 認める。 -関心、期待、心配…etc | ・挨拶 ・何気ない声かけ -頼りにしてるよ、 -大丈夫?、 -困っていない? |
行 動 承 認 | 部下の行動を 認めて促す。 ⇒望ましい行動の 強化 | ・○○(行動) してくれて ありがとう。 ・○○(行動)を 続けていこう。 ・(報告に対して) いいね! |
結 果 承 認 | 部下が生み出した 結果を認める | ・(結果に対して) よくやった! |
(4)褒めるメリット
「褒めること」によって
得られるメリットは何か?
褒めるメリットはズバリ、
「褒めた相手の
業務の成果を
高めること」!
どうして褒めることで業務の成果が
高まるのか。
褒めるメリットを基に解説します。
①望ましい行動の強化
「望ましい行動」を褒めることで、
また、○○をやろう!
と、部下・後輩の方は
感じるようになり、
行った行動が強化され、
部下・後輩が「望ましい行動」を
繰り返し行うようになります。
褒めることで望ましい行動の強化を
するには、「行動」そのものを褒める
「行動承認」を行っていきます。
行動の強化については
下図や過去の記事をご覧ください。
②モチベーションの維持・向上
褒められることで
相手の承認欲求が満たされ、
次のメリットも生じます。
その組織で働きつづけること、
望ましい行動をする。
更なる結果を出すことが
動機付けらる。
褒めることでモチベーションを
維持・向上するためには
相手の存在を認める、
前述の存在承認を行いましょう。
③上司と部下の信頼関係の構築
部下・後輩を承認することで、
「一緒に仕事をしていて心地が良い」と
思われる上司・先輩になれます。
さらに、褒めることにより、
①望ましい行動が強化される
②モチベーションが向上される ので、
褒められた相手の成果が
最大化されるため、
より部下が信頼してくれるようになります。
どのように褒めるか
ここでは、褒める際に
気を付けるていることや
意識していることを
紹介したいと思います。
(1)褒める鉄則!
①「●●●●●●」を褒める
仕事、業務において褒める主目的は、
①メンバーが
「成果物」を得るための
「望ましい行動」を
行えるようになる/増やす。
ということです。
従って、褒めるべき対象は
「望ましい行動」になります。
当たり前な話ですが
愚痴やネガティブな発言といった
望ましくない行動を褒めることは
ないですよね。
もしも、望ましくない行動を
褒めてしまうと、
その行動を繰り返すことになります。
よくある失敗が、「部下のミス」を
承認してしまうことです。
そういうミスは
よくあるから
「大丈夫」
私もできていないから
平気平気
という様に、部下の失敗に対して
「次から気を付けよう」という
望ましくない行動を減らす
アプローチではなく、
「大丈夫」、「平気だよ」といった
望ましくない行動に対して
承認する発言をすると
部下・後輩は望ましくない行動を
繰り返してしまうことになります。
②「●●」を褒めるのはNG
もう一つ、褒めることについて
よくあるNGな褒め方は、
「ヒト」そのものを褒めることです。
育ちがいいね。
今日もカワイイね。
●●さんは優しいね。
さすが●●さん!
このような褒め方は
「望ましい行動を増やす」という
目的に対して効果が薄いです。
行動を褒めなければ、
部下・後輩から次のように
思われることが有ります。
なぜ褒められたんだろう?
そればかりか、
相手のバックグラウンドによっては
相手を傷つける可能性もあります。
あの人は容姿しか
人を見ていない。
褒めるのは、あくまで
「望ましい行動」です。
上記のような褒め方は、
次のように言い換えましょう。
ポイントは「望ましい行動」を
誉め言葉に添えることです。
身なりをしっかり整えているから
お客さんの印象もいいし、
職場が引き締まるので嬉しいよ。
いつも率先して△△を
してくれるから、
職場の皆が助かっているよ。
このアイデアはいいね!
色々な提案を期待してるよ。
●●さんの発想力はさすがだね!
③自分軸で褒める
相手を褒める際、
単純に相手を褒めるよりも
相手の行動によって、
自分や周囲にどのような良い影響を
与えたかを言葉にすると、
褒める効果はさらに高まります。
近頃は、I(アイ)メッセージと
呼ばれています。
実は、先ほどの褒め方にも
そのテクニックを用いています。
身なりをしっかり整えているから
お客さんの印象もいいし、
職場が引き締まるので嬉しいよ。
いつも率先して△△を
してくれるから、
職場の皆が助かっているよ。
④褒めるの5W1H
褒める際のポイントを
5W1Hの側面からまとめてみました。
Howの項目に述べていますが、
褒めることが苦手な方は
下記のパターンの方が多いです。
他人の良いところを
見つけるのが苦手
→日常の業務時間や会話、
行事などで意識して
良いところを見つけましょう。
褒める言葉が思い当たらない
→次の章で、褒める方の例を
まとめてみました。
参考にしてください。
(2)褒め方の例
ここでは、今日から使える
褒め言葉を集めてみました。
誉め言葉の例 | 解説 |
---|---|
-報告に対して 教えてくれて ありがとう いいね | 報告に対して、 「うん」、「わかった」と 相槌を打つだけ得なく、 感謝(=存在承認)や 褒める(=行動承認) 言葉を一言を添える。 相手が「報告する」 行動も強化される。 |
-指示を出すとき ○○さん、☆☆って 得意だったよね | 相手の能力・力量を 認める言葉。 言われた相手は 「上司からの信頼」を 感じられる。 |
-指示を出すとき 頼んだよ 頼りにしてるよ | 相手が組織に 必要な存在と 認める言葉。 |
-態度、姿勢、 返事が良い時に やる気満々だね | 相手の態度や姿勢が 良いと認める言葉。 良い態度・姿勢を 維持する動機付けと なる。 |
-仕事の過程が 良好な時に すごいじゃないか | 相手の行動、能力を 認める言葉。 成果に至るまでの 相手の原動力となる。 |
-小さな成果に 対して やったね! やったな! | 小さな成果であっても 認めることで 次の成果を生み出す 原動力となる。 |
-結果に成長が 見えたとき 完璧だね | 十分な力量になったと 成長を認める 結果承認のことば。 相手に自信が生まれる。 |
-失敗に対して 無駄ではないよ ○○はできている △△がわかった だけでも前進だよ | 自信を失わないように フォローする言葉。 失敗であっても、 一旦相手の行動と 存在を認めることで、 不安を和らげる。 |
-失敗を挽回 したとき うまく乗り超え られそうだね | 失敗を挽回しようと している部下の 行動・結果を認める。 失敗直後で不安定な 部下に励みを与える。 |
-1日の終わりに お疲れ様 | 相手の1日の行動、 成果を認め、 頑張りをねぎらう 立派な褒め言葉。 |
最後に
褒めることは、やり方さえわかれば、
誰でも簡単にできる
人材育成の手段の一つです。
また、褒めることは職場で
上司・部下、先輩・後輩のお互いが
気持ちよく業務を覚えていく、
進めていくためのマナーとも言えます。
是非、「褒めることはちょっと」という
壁を打ち崩し、実践してみてください。
褒める方法については
こちらの書籍がお勧めです!
私もこの本で学び、
実践・アレンジしています。